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2015/12/08
2015/12/08

ASEAN消費者の価値観がマーケティングにどう影響するか

D2C 国際事業室の呉 恵文です。
 

前回は、マクロな視点からASEAN市場を捉え、市場を理解するためのキーワードとは何か、をお届けいたしました。今回は、もう少しミクロな観点から、個々の消費者を分析してみましょう。

 

価値観によってアジアの消費者を分類する6つの層

今回はターゲティングの参考になる情報を提供しようと思う。

 

1000人を対象にしたクラスター分析をしてみると、アジアの消費者は、図のように6種類のカテゴリーの人間がほぼ同じ程度の数存在することがわかる。日本で言う、F1層(20歳から34歳までの女性)やM1層(20歳から34歳までの男性)といった分類にも似ているが、こちらは男女では分けていない。
彼らのどこをメインターゲットにするのかは極めて重要な点だろう。それぞれ金銭感覚もモノに対する見方、考え方も違う。

 

一つひとつ、見ていこう。

 

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●バブル層
現状に対する満足度が高く、自分が成功しているという意識も強い。また、さらなる成功も信じて疑わず、実際、年収も増え続けている層である。魅力を感じるブランドを、またステータスを顕示するために商品やサービスを購入するケースが多い。
払える自信があるので、ローンでどんどん買い物をする傾向が見受けられる。社交的で、積極的にコミュニティに参加し、関与する。
タイベトナムに多く見られるタイプだ。

 

報告書「クレディスイス・プライスウォーターハウスクーパース2015年ビリオネア・リポート」によると、世界に1300人いるビリオネアのうち66%は一代で資産を築いており、20年前の43%と比較すると、近年成功した創業者が増えていることが分かる。また、驚くことに、これらの36%はアジアに居住している。工業、サービス業が猛烈に成長するアジアが今、ビリオネア草創の地となっている。

 

アジアバブル層のイメージ作りに一つ参考を挙げてみよう。
つい先日、イタリアの高級車メーカー、マセラティ(Maserati)が、12月から高級スポーツカーの新型モデル4種をベトナム市場に投入し、正式にベトナムへ参入したニュースが流れた。既に15台の売買契約が成立し、3~5年以内にベトナムの高級車市場でのシェアを7~10%に拡大することを目指すと発表した。中古車、自転車、オートバイなど、発展途上のイメージが強いベトナムでさえ、高級スポーツカーなど贅沢品が売れる市場に成長しつつあるのだ。

 

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●成功飢渇層
30代後半から40代に多く、現在の仕事や地位にはあまり満足していないのが特徴。自身の生活向上に意欲的で、何であれ成功に向けてのアクションを起こすことを厭わないが、何をしていいかわからなくて暗澹としている人も少なくない。個性を大事にするので、メジャーブランドを無理して買ったりはしない。
インドネシアベトナムに多く見られるタイプだ。

 

●中間層
キャリアパスやコミュニティの中でのポジション構築に関心が薄い。自分はこういう人間だというよりも、自分はこういう人間ではないという考え方、モノの見方をする。平均か、それ以上の収入があり、貯蓄額も高いのだが、特に明確な目標を持っていないというケースが多いようだ。

 

●合理主義者層
女性(アジア圏において、ほとんどの女性が結婚、出産後も仕事を継続)が6割近くを占める層。年齢的には30代後半から40代が多い。特に意欲的ではないが、現状にもあまり満足していないなどの特徴を持つ。チームワークを重視し、環境問題に対する意識も高いので、製品を選ぶ際は機能性を重視。
フィリピンインドネシアに多く、ベトナムには少ないタイプ。

 

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●ヤングエグゼクティブ候補層
年齢は最も若く、18歳から24歳を中心に、明日の成功を夢見る層だ。収入が少ないため、ブランド品にもそれほど関心は示さず、消費額は高くない。チームやグループ行動が好きで、友好的だ。環境や子ども、コミュニティ、健康などにはあまり関心を示さない。
タイに多く見られるタイプ。

 

●アチーブメント信仰層
若者が中心。現状に不安を持っていて、積極的に成功への道を歩みたいと思い、そのための意欲は高い。ただ仕事のために、家族との時間を割愛する日本的理念は理解できない。可処分所得が低いため、消費意欲はあまり高くない。

 

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こうした層のどこをターゲットとするのか、それは商品特性によって変わってくるだろう。

 

余談になるが、2015年度の流行語大賞にも選ばれた「爆買い」も、国、消費者層分類などによってよりロジック的に消費者需要、心理を理解することができ、マーケティング手法を考えるうえで差別化をする必要があることが分かる。
 

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ASEAN諸国ではとりわけ首都をターゲットせよ!

また、都市部とそれ以外の地域では、あまりに生活のレベルが違うのもASEAN諸国の特徴だ。インドネシアにしてもジャカルタだけを取れば可処分所得は1万ドルくらいあるのだが、全体で見ると、その3分の1にも満たない。それだけの格差がある。

 

ベトナムではホーチミンとそれ以外の地域でも、やはり3倍ほどの違いがある。だから、マーケティングに際しては、国全体の情報ではなく、都市、多くの場合は首都の情報をつかみ、ターゲティングしていかないと歩留りが非常に悪くなる。

 

 

横道にそれるが、一つおもしろい話を紹介しよう。

 

インドネシアには、電気も水道もガスも通っていないという地域も少なくない。ところが、そうした場所でも若者はスマートフォンを所有している。電波が来ているのだが、電気がない。そこでどうするか。町までやってきてチャージする。加えて今では、日本製の発電鍋が流行している。お湯を沸かせるだけで電気を生じるという鍋だ。

 

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空飛ぶおにぎり…!日本とのセンスの差

最後に、もう一つ、注意すべき点を紹介しておこう。
それは特に、クリエイティビティに関するセンスの違いだ。

 

早い時期からASEANに進出していた企業の一部は、現地に本部を置き、経営管理層の他に日本からマーケティングを取り仕切る人間を駐在させている。
そこをローカルの代理店に任せきってしまうと、大変なことになる。

 

パッケージ一つとっても、微妙なタッチや配色の修正で、全く違って見えたりする。また、自社のマーケティング担当者がローカルの代理店からキックバックを貰うなど、なれ合いの関係にあることもよく聞く話だ。 

 

たとえば雲一つ描くにしても、日本と現地ではイメージが違う。背景色も日本は白地を好む傾向があるが、向こうで白地はあり得ない。目立たないからだ。よく見る背景色はショッキングピンクなど、目立つ色合いが多いのだ。

 

日本のアニメが非常に流行っているので、それを真似されることも多い。
東京タワーの隣になぜかおにぎりやUFO、お寿司が浮いていたりする。日本人には理解しがたいセンスであるが、ローカルマインドでいけば、どこもおかしくない。

 

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そうしたことが起こらないように、現地で仕切る必要があるのだが、かと言って、あまりに現地を無視して日本テイスト、グローバル基準を押し通すと、今度は市場に埋もれてしまって、現地の人たちの関心を呼ぶことができないということもしばしばだ。だから、その辺りのさじ加減をすることが必要とされる。

 

そのためにはクライアントとローカルを繋ぐ懸け橋となる人がどうしても必要になると言えるだろう。ローカルで広告代理店を探す時も、日系広告代理店だから安心とかではなく、日本とローカル視点の双方を兼ね備えたキーマンがいるかどうかが重要な判断ポイントになると言えるだろう。

 

 

つい先日ad:tech tokyo 2015が閉幕したばかりですが、心は早くも来年1月に米国・ラスベガスで開かれる2016 International CESに向かっています…。

 

来年も、どうぞよろしくお願い致します。

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