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いま熱い越境EC- ダイナミックに変化するアジア市場に取り残されないためにPart3(タイ編)
2017/03/31
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2017/03/31

【タイを知る4つのキーワード】
いま熱い越境EC- ダイナミックに変化するアジア市場に取り残されないためにPart3(タイ編)

前回のPart 2 ではASEAN eコマースのマクロについてご紹介しました。
今回はタイのeコマース市場について4つのキーワードと共にご紹介をしたいと思います。

 

 
 

キーワード①「華僑」:ASEAN経済共同体(AEC)<中国系EC

多くの企業やメディアが、2015年末に成立されたASEAN経済共同体(AEC)に多大な期待を寄せていることと思うが、東南アジアEコマースに及ぼす直近インパクトは限定的だと考えられる。
なぜならば、加盟各国の施策が現状あまりにも零細しすぎている上に、中国EC市場がこの1、2年爆発的な成長率を保っているため、AECに跨っている他の市場政策がその魅力を発揮できずにいるからだ。

 
またAECにおいて、忘れてはならないのが華僑の存在と、その影響力、そして中国企業との積極的な協業だ。そのため2017年の越境ECを牽引していく原動力は中華系企業にあると考えられる。

 
◆いま熱い越境EC―ダイナミックに変化するアジア市場に取り残されないために Part 2
http://www.d2c-smile.com/201612208385

 
実際、台湾政府の東南アジアなどとの関係強化や経済の輸出を進める政策「新南下政策」や、中国の「京東集団(ジンドン)」がその典型的な例だ。

 
中国ECモール2位の「京東(JD.COM)」は昨年インドネシアに拠点を設立し、4,000万以上の商品項目と、中国-東南アジアのサプライチェーンを以て、Matahari Mall やLazadaら地元企業と競争している。その一方で、アリババグループ(中国最大規模のECモール)はシンガポール郵政に5億米ドル近い投資を行い、東南アジア市場への足掛かりにしている。

 
 

キーワード②「決済機能」:代引きVSサードパーティペイメント

ECと縁を切っても切れないのがペイメントだ。

 
アメリカには「PayPal」、中国には「支付宝(アリペイ)」があるが、東南アジアにはまだこれと言った信頼できる大型なペイメントプラットフォームが存在しておらず、それぞれの国や地域で中小規模のペイメントプラットフォームがあるだけだ。

 
東南アジアのEC市場において、代引きはまだ大きなウェイトを占めている。
東南アジア地域におけるEコマース支援を行うタイのスタートアップ企業「aCommerce」の最新調査によると、代引きによる取引はトータル取引額の74%を占めており、前回の調査時の53%に比べ大きく成長した。これは、中国のサードパーティペイメントフォームの生態と全く違う方向に向かっているようにも見えるが、東南アジアにはまだこれと言った大型な有効ペイメントプラットフォームがまだ台頭していない現状から来る一時的なものともいえることだろう。

 
そんな中において、タイやシンガポール政府はFintechに力を入れており、アジア版Pay Palの開発、推進に力を入れている動向には今後注目が集まるところだろう。

 
 

キーワード③「モバイルファースト」:PC普及率<スマホ普及率

eコマース市場の成長要因としては、世界的に見てもモバイルコマースが挙げられる。急速に普及するスマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末を利用し、商品の検索から決済までを行う習慣が広く普及しているからだ。

 
Googleは、スマホ使用者の約80%にモバイル経由で商品を購入した経験があるという調査結果を発表。また、eMarkerterによれば、モバイルデバイスを通じて商品を購入する比率は年々増加し、2017年には50%を超えると予測している。

 
これらはUSの調査結果であるが、PCの普及率がスマホの普及率より低いアジアでは一層加速し、モバイルシフトは免れないだろうと考えられる。

 

 

eMarketerの調査によると、eコマース市場は、2019年には現在の約2倍の3.5兆ドルまで拡大すると予測であり、地域別でみると、アジア地域による貢献が最も高い、2015年における同地域の市場規模が全体の約半分を占めているのに対し、2019年には約65%までに増加する予想される。商取引額のうちeコマースが占める割合をみると、2019年に全世界が12.8%であるのに対し、アジアは20%を超える水準に達すると予測されている。

 
小売市場の面から見ると、アジアはまさにEコマースの急速発展期にある。中国の小売市場に占めるECがおよそ10%前後なのに対し、タイはまだ1.7%。経済規模から鑑みるとまだまだ成長空間が高い。

 
<商取引に占めるeコマースの割合(金額ベース)の推移及び予測>

 
<諸国のeコマース市場の規模と成長性>

 
 

UBSの予測によると、スマホ普及率54%以上のタイは2017年までにはインターネット普及率(モバイル経由を含む)が60%に達する見込みであり、その中で64.9%のタイ人にオンラインショッピング経験があるだろうとの予測を発表している。これはシンガポールとマレーシアに次ぐ高さだ。

 
同じ時期に、タイ政府は「ETDA(Electronic Transactions Development Agency )」を成立。国内のデジタル経済発展を推し進めており、その中でもECは重要な一事業であると位置づけられている。
ETDAの2015年度の調査によると、タイにおける42.6%のオンライン取引はアパレル関連商品で、IT関連商品の27.5%が2位、健康、コスメ関連商品が24.4%で3位に就いている。タイのネット世代がEC市場の発展に貢献していると言っても過言ではないだろう。

 
ただモバイルへの消費者シフトにはいくつかクリアしなければならないハードルがある。
例えば、カスタマイズされたアイテムレコメンドや消費意欲を促す適時なディスカウントクーポンの配布、モバイルペイメントの習慣化など、消費者にとって最適なUI、UXの提供は課題である。それらが実現した時、東南アジアにおいてもモバイルシフトは一気に加速することだろう。

 
 

キーワード④「流通システム」:外資企業VSローカル協業

タイEC市場の急速な発展に目を付けたのがDHLだ。
DHL ECビジネスアジア地区総裁のMalcolm Monteiro氏によると、タイEC市場における2015年~2020年の間の営業利益は約36億ユーロを超え、3倍ほど成長見込みと予測している。タイは、DHL が2008年に中国、インドでEC向けの流通システムを開始してから、3番目に大がかりな投資をする市場に選んだ国だ。

 
Uberとマレーシア発のタクシー配車アプリGrab Taxiは、昨年配送ソリューションを導入。AMAZON はUberと協業し、Eコマース企業や小売店に対する支援事業を行うaCommerceは、ローカルの道路事情や路況に詳しいUberとGrab Taxiのドライバーを使い、設計があまり良くないタイの道路の欠点や輸送間のシームレスなコーディネートの障壁を克服し、APPを通じて荷主が随時貨物の最新情報を把握できるようにした。

 
これはDHLがタイでECの配送システムを構築した時、最初に直面した問題でもある。

 
タイブロガーのY. Tanaboriboon氏が発表した「Bangkok Traffic」のコンテンツによると、タイの道路設計はフィッシュボン式であり、1本の幹線道路から無数の小さい道に枝分かれし、その多くが一方通行か行き止まりであるため、トラフィク量が少しでも増えると渋滞が激しくなる。

 

 

 

ローカル協業のUber、Grab TaxiとaCommerce以外に、タイにおけるDHLの最大競争相手はシンガポール郵政だ。

 
老舗で、信頼度が高いシンガポール郵政(SingPost)はECの配送業に参入してから、現在ではEC配送から来る収入が総売り上げの25%を占めるほどに成長した。タイ市場においては競合相手のaCommerceに類似したサービスを提供する一方、aCommerceの物流システムにも巨額の投資をし、ウィンウィンのシチュエーションを創出している。

 
そんな中、中国最大プラットフォームのアリババ(阿里巴巴)グループは、シンガポール郵政に2.49億ドルを投資、10%のシェアを獲得し、東南アジア最大の物流センターを構築する予定だ。

 
 

越境ECが挑むタイ市場の挑戦

タイには現在50万軒のオンラインショップがソーシャルプラットフォームやオフィシャルオンラインショップを通じて商品を販売し、その半分以上がバンコクに所在している。ECの流通システムの発展に伴い、各国の越境ECがこぞってタイに市場参入しているが、貨物輸送の即時性やコスト高など、まだ解決待ちをしている問題点はある。

 
日本、中国、台湾などの市場においてはペイメント、CRM、通信環境、流通手段など、すでにある程度成熟しているため見落としがちだが、その他のアジア市場はまだその途上であり、最適化されたユーザーエクスペリエンスを提供できたものこそが次期王者として市場を制するだろう。

 
ローカルに混じり、中華資本、欧米資本など多くがタイ市場でしのぎを削っている中、流通を含め、日本からの越境ECはあまりアクティブに参入しているようには見えない。先攻の利を逸さないことを祈るばかりだ。

 
次回は、世界第4位の人口を誇るインドネシア市場についてご紹介します。

 
 

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