D2Cスマイル

SHARE

スマイルを共有する

Facebook
Twitter
google+
はてなブックマーク
このエントリーをはてなブックマークに追加
デジタルマーケティングの総合オピニオンサイト
HOME > 世界で戦える日本のクリエイティビティとは ―「コードアワード2016」審査員インタビュー:前編
2016/08/23
1
2016/08/23

世界で戦える日本のクリエイティビティとは ―「コードアワード2016」審査員インタビュー:前編

7月27日、デジタルを活用したマーケティングやプロモーション施策を表彰する「コードアワード2016」贈賞式が開催されました。

 

今回は、「コードアワード2016」に審査員として新たに参加された方の中から、株式会社電通 電通総研Bチーム クリエーティブ/コピーライター キリーロバ・ナージャ氏株式会社BIRDMAN 代表/クリエイティブディレクター 築地 Roy 良氏株式会社博報堂ケトル クリエイティブディレクター 橋田 和明氏を迎え、国内外の広告賞や受賞作品の傾向、ご自身も広告クリエイティブに携わる見地からデジタルマーケティングの「未来」を拓くクリエイティビティとは何かをテーマに、株式会社カケザンのクリエイティブプランナー 新野文健が伺いました。

 

160823_01

(左から)
インタビュイー: キリーロバ・ナージャ氏(以下、ナージャ)
築地 Roy 良氏(以下、ロイ)
橋田 和明氏(以下、橋田)
インタビュアー: 新野 文健(以下、新野)

 
  審査員の紹介|コードアワード2016
  http://www.codeaward.jp/judges/

 

 

キーワードは「デジタル・エクスペリエンスの広がり」

新野:コードアワードの審査に今回参加いただきましたが、審査された感想はいかがでしたでしょうか?

 

ナージャ:議論がとても白熱したことが印象に残っています。どういう切り口から審査をしたらいいだろうかとか、クラフトってなんだろう、クリエイティビティをどうやって見つけていくかっていうことをみんなで議論したのがおもしろかったし勉強にもなりましたね。

 

ロイ:他のアワードと違って審査員の方で作品をイノベーションとかユース・オブ・データとか部門を振り分けていくというのは他にないので、そこはおもしろいなと思いました。

 

橋田:さきほどナージャさんが言っていたようにみんなで議論してつくり上げるというプロセスが含まれている賞は他にないと思うんです。カンヌの審査だとサブカテゴリまで細かく切られていて、そこに対するレレバンシーがあるかどうかを見ていく作業になるのですけど、コードアワードの場合は審査員みんなで「どういうものをみつけていこうか」ということができるっていうのはコードアワードの大きなメリットだと思います。
もうひとつの特徴としては、テーマでもある“デジタルによってもたらされる「体験」”ということだと思うんです。デジタルやインタラクティブっていう概念の基本なのかもしれないですけど、一方的じゃなくて人に体験を与えるっていうのは非常にいい規定の仕方かなと。ウェブから始まりモバイルになり、もっとテクノロジーの技術が進化してVRとかでてきて…ということを考えたときに、その体験がどう広がっていくのかっていうことをみんなで議論するのは夢がある話なのかなって思っています。

 

160823_02

 

アイデアか、クラフトか―新設部門から見るカンヌライオンズ

新野:海外のアワードを見た時に今の状況をどう捉えていますか?

 

橋田:カンヌのサイバー部門はすごく難しくなっていますよね。
インタラクティブなものっていうかインターネット的なものというかデジタルなものがキャンペーンに含まれていることが100%当たり前の世の中で、なにを本当に評価していくのか、っていう。イノベーション部門ができちゃったし、今回デジタル・クラフト部門もできましたよね。デジタル・クラフト部門はすごく分かりやすくなったと思うんですよ。そのデジタルクリエイティビティのクラフトを集中して見ようっていうのは。

 

ナージャ:昨年のサイバー部門の審査員だったんですけど、デジタルは何でもありになってきていて、そうなると、クラフトをほめる余地がどんどんなくなってくるんです。「このクラフトはすごいけど、こっちの方がアイデアがある、こっちの方が人のためになる」というように、アイデアとクラフトを並べると、クラフトっていうのは埋もれがちになっちゃうんです。
それで昨年は審査員のみんなでクラフトはもっとほめないといけない、そうしないと今後デジタル・クラフトが伸びてこないんじゃないか、クラフトよりも、おもしろいアイデアとか社会貢献や課題解決を狙わないとダメだと思うようになってしまうんじゃないか、という話になって、それでクラフト部門を作ろうということになったんです。例えば、実際には普及はしてないけど、プロトタイプで応募してきたらそのアイデアをほめるのか、実現性をほめるのか、といった議論がされました。
他には、「For Good」とまでいかないけども、何かの社会課題をデジタルの力で解決しているものがほめられていましたね。

 

160823_03

 

新野:ソーシャルグッドみたいなものもかなり多かったんでしょうか?

 

ナージャ:数年前の考え方のソーシャルグッドやマーケティングのためにやるんじゃなくて、社会課題や人類の可能性を広げるためにデジタルが使われているものが増えていました。
ただデジタルですごいテクノロジーを使った、ただ売上が上がったというよりは、なんのためにそれをやっているのか、デジタルならではの課題解決がどこにあるのか、そういうものがほめられる方向にシフトしているように感じます。もちろんキャンペーンとして圧倒的に成功しているものも褒められていましたが。

 

橋田:カンヌ全体を通しても、世の中に対して何をするか、ビジネスにどういう影響を持ったかというリザルトというのを見る傾向が強くなっている気がしますね。

 

 

世界を舞台に戦える日本企業の「実現性」

橋田:もうひとつ今年の傾向として、デザイン以外は日本が活躍できなくなってきましたね。日本はデジタルがすごく強いっていうのがずっと続いていたんですが、最近は賞が取れなくなってきているんです。それは世界が日本に追いついてきたというよりは、日本の作品が世界の賞に合わなくなってきたという感じがします。

 

ナージャ:(世界の)視点が変わってきたんじゃないでしょうか。昨年も受賞できたものが少なかったのはそのためだと思います。

 

ロイ:今年はサイバー部門/モバイル部門で受賞した『GIGA Selfie』やプロモ&アクティベーション部門でブロンズをとった『INTELLIGENT PARKING CHAIR』ぐらいですよね。でも、今回、コードアワードで受賞した『G・U・M PLAY』みたいなプロダクト開発の作品とか日本は結構得意なんじゃないかと思います。

 

160823_04

 

新野:さっきナージャさんがプロトタイプ的なものをどう評価するかという話をしていましたけど、『G・U・M PLAY』は実際に売っていますもんね。コンシューマーに対して。実際に売るためには単価を下げなきゃいけないとか、品質を担保しなきゃいけないとか、プロトタイプとは全く違いますよね。

 

ナージャ:その違いは凄く大きいですね。海外の人と話をすると、海外では広告関係のクリエイティブチームがプロダクト開発から入ることっていうのはほぼ存在しないらしいんです。日本はそれがあるし、そういった作品が評価される流れはあるので、そこがチャンスかなと。

 

ロイ:コードアワードもウェブだけじゃないですよね。デジタル・エクスペリエンスというところでいうと、『G・U・M PLAY』は、今後の可能性という意味でもプロダクト開発という意味でも、本当によかったなと思います。

 

160823_05

 

橋田:「グッド・イノベーション」をとった『mineo フリータンク』は素晴らしいアイデアだと思っていて、家族でしか分けられないものを全部プールしちゃえっていう。これって経営判断までいくことだと思うんです。ああいうアイデアを得意先と一緒になって開発する楽しさもありますが、得意先の勇気も必要ですよね。

 

ナージャ:『mineo フリータンク』は一見クリエイティブのなかでもアウトプットとしてちょっと地味じゃないですか。決して派手ではないけどすごいアイデアで、今まで誰も思いつかなかったものを川上のところからやっている。そういう作品を拾えるアワードは他にはないので、そういう作品をほめていくことによって川上のアイデアの種たちがたくさん開花すると、もっとそこにみんな意欲を持てるようになると思うんです。コードアワードではそこを大事にするといいんじゃないかと思いますね。

 

新野:アワードの意味ってそういうところかもしれないですね。そういうことを他でやっていることを知って、自分たちも勇気づけられるような。『mineo フリータンク』みたいなサービス開発のアイデアも提案出来る余地はあるし、世の中に受け入れられるんだって。

 

橋田:他のアワードだと『mineo フリータンク』は賞から落ちていると思うんです。今回「グッド・イノベーション」に残せたのはよかったと思います。

 

160823_06

後編へ続く)

関連記事 RELATED ARTICLES
このライターが書いた記事